榛青く透き通った榛名湖が、美しい榛名富士のシルエットを水面に輝かせ、訪れる人々を迎えくれる。
榛名湖の定番と言えば白鳥の遊覧船やトテ馬車だ。ひずめの音をゆったりと響かせるトテ馬車は榛名湖の風物詩である。トテ馬車は榛名観光案内所前とロープウェイ高原駅の間を運行していて、乗っていると他の観光客から注目されるので、ちょっと気恥ずかしい。往復約２０分。料金は大人１０００円、子ども８００円。榛名湖１周コースもあり、所要時間は約１時間だそうだ。
のんびりと風に吹かれながらボートで榛名湖に漕ぎ出すのもいい。昔はオールだったので、要領を得ないとボートを進めるのがなかなか難しかったが、今は足漕ぎ式が主流なので、ずいぶん楽になった。
湖畔の群馬県立榛名公園ビジターセンターには、榛名山の自然や火山活動の展示があり、榛名山の成り立ちや動植物を知ることができる。

 

 

 

　榛名富士は、その名の通り富士山にそっくりだ。榛名富士の稜線に沿ってロープウェイが動いている。
湖畔の高原駅から山頂まで、高低差は３００ｍ。ロープウェイの延長は５２７ｍで、日本で初めて２両連結ゴンドラが導入された。山頂までの所要時間は２分５０秒、一気に上がるので初めて乗る人は、そのスピードに驚くようだ。
何といっても山頂からの眺めがすばらしい。天気の良い日は関東平野が一望でき、東京スカイツリーや富士山を見ることもできる。大人往復８４０円。子ども往復４１０円。

 

 

 

５月から秋まで、榛名山は美しい高原の植物に彩られる。花の時期は平地よりも１カ月ほど遅れ、ヤマサクラ。ズミ、ヤマツツジレンゲ、ツツジなどが５月から６月にかけて見ごろとなるようだ。ユウスゲ、オオバギボウシ、ワレモコウは7月中下旬から咲き始める。
秋の訪れも早いので、平野部とはちがった高原ならではの季節感を味わえるのも榛名の魅力だ。

榛名湖の周辺にはハイキング感覚で散策できる「つつじの道」、「ゆうすげの道」がある。
「ゆうすげの道」は広大な沼の原湿原の中の木道で、１周するのに約30分。榛名山を訪れた人は、ぜひ一度は歩いてほしいおすすめスポットだ。ユウスゲの花の時期は7月下旬から８月。ユウスゲは夕方から咲き、翌朝にはしぼんでしまう。日中は残念ながら花を余り見ることはできないので、夕方４時過ぎに行ってみるといい。夏の時期には、マツムシソウ、キキョウを見ることもできる。
ゆうすげの開花期を逃してしまっても、季節ごとの美しい自然を見せてくれるので、榛名湖を取り巻く外輪山を眺めながら、散策が楽しめる。

 

 

 

　榛名山を味わい尽くすなら、何と言っても榛名湖を取り囲む外輪山のトレッキングではないだろうか。山歩きの用意をして、さあ、出かけよう。
２時間から３時間ほどでトレッキングを楽しむなら、硯岩と榛名山で最も高い掃部ケ岳のコースや標高１４１１ｍ相馬山とスルス岩のコースなどはどうだろうか。
硯岩は、榛名湖の西岸、榛名吾妻荘の上に見える大岩である。最寄りの公営駐車場から余り遠くないが、急坂

路なので十分に注意が必要だ。硯岩から眺める榛名湖と榛名富士はとても美しく、空の上から見ているようであり、観光パンフレットのような写真が撮影できる。掃部ケ岳の頂上からは浅間山や信州の

山並みも見ることができる。
相馬山・スルス岩はヤセオネ峠から登るか、車で来た場合は、松之沢駐車場に停め、ユウスゲ群生地の木道から登山道へと向かう。スルスは石臼の意味で、まさに大きな臼の形をした奇岩が現れる。遠くから見ると、絶対に登れないように見えるのだが、行ってみるとはしごが岩の上まで登ることができる。ここからの眺めもまた見

事である。岩の上には烏天狗の像がある。
登山コースによっては、鉄梯子や鎖、岩の急斜面などの

ポイントもあるので、自分の判断で楽しく登ろう。老婆心ながら登る時よりも下る方が注意が必要かもしれない。

 

 

 

 

 

さて、帰りは榛名湖温泉ゆうすげ元湯でくつろいでいく。きめ細かでなめらかな温泉と、榛名湖のすばらしい眺望が身も心もリフレッシュ。内風呂、露天風呂のほか泡風呂、サウナもあり。入浴のみは大人510円、子ども250円など。休憩は平日が510円、休日が710円、利用時間は午前10時30分から午後9時（午後８時受付終了）。